ホーム通達 > 一般廃棄物を委託して処理する場合における市町村の処理責任について

一般廃棄物を委託して処理する場合における市町村の処理責任について|通達

2008/06/19一般廃棄物を委託して処理する場合における市町村の処理責任について

平成20年6月19日環境省から「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条第1項の規定に基づくごみ処 理基本計画の策定に当たっての指針について」と題して、一般廃棄物を委託して処理する場合における市町村の処理責任について指針が発令されました。その要 旨を以下に掲載します。
 


環廃対発第080619001号
平成20年6月19日
各都道府県廃棄物処理担当部(局)長殿
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部
廃棄物対策課長
 
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条第1項の規定に基づく
ごみ処理基本計画の策定に当たっての指針について

一般廃棄物処理行政の推進については、かねてより種々ご尽力、ご協力いただいているところである。

さて、環境問題の重要性がますます高まっている中、ごみ処理行政において市町村の果たすべき役割もま すます大きくなっている。
本年3月には循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号。以下「循環法」という。)に基づく循環型社会形成推進基本計 画(以下「循環計画」という。)が改定されたところである。
改定循環計画においては、「環境保全を前提とした循環型社会の形成」を軸に、低炭素社会・自然 共生社会への取り組みとの統合、地域循環圏の構築などを推進することとしている。

一般廃棄物の処理においても、昨年6月に提示した「一般廃棄物会計基準」、「市町村における循環型社 会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」及び「一般廃棄物処理有料化の手引き」(以下総称して「3つのガイドライン」という。)を活用し、地域住 民への情報開示を行い、理解と協力を得ながら、3R化改革を進めるべきである。

これらの考え方を踏まえ、市町村が廃棄物の処理及び清掃に関する法律く昭和45年法律第137号。以 下「廃棄物処理法」という。)第6条第1項に規定する一般廃棄物の処理に関する計画(以下「一般廃棄物処理計画」という。)を立案し、これに基づいて事業 を実施することができるよう、この度平成5年に策定されたごみ処理基本計画策定指針を改定することとした。

ついては、市町村の処理責任の性格等一般廃棄物処理計画の策定及び適用に当たっての重要事項を下記の とおり取りまとめるとともに、ごみ処理に関する基本的な事項について定める「ごみ処理基本計画策定指針」を別添のとおり策定したので、貴職におかれては、 これら重要事項やごみ処理基本計画策定指針について、貴管下市町村に対し周知徹底及び指導方お願いしたい。

おって、平成5年3月15日付け衛環第83号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条第1項の規定に基づくごみ処理基本計画の策定に当たっての指針について」は廃止する。
 

1.環境保全の重要性

廃棄物処理の制度に関しては、汚物掃除法、清掃法を経て、昭和45年のいわゆる公害国会において廃棄物処理法が制定された。清掃法までは、「公 衆衛生の向上」が目的とされてきたが、廃棄物処理法制定時に公害関係諸法に共通の「生活環境の保全」という目的が加えられている。
これは、高度経済成長期 に経験した数多くの公害問題を克服するために新たな理念として加えられたものである。
以来、現在に至るまで廃棄物処理法の目的は、第1条の目的規定にある ように「生活環境の保全及び公衆衛生の向上」である。そして、これらを基盤としてはじめて循環型社会が存立し得るものである。

この度の循環計画の改定に当たっても、冒頭に「環境保全は、人類の生存基盤にかかわる極めて重要な課題」として、改めて環境保全の重要性を力説し、環境保全を前提とした循環型社会の形成を標梼しているところである。
ついては、市町村の一般廃棄物行政におかれても、環境保全を前提とし、国民の安全、安心が確保されることを軸として循環型社会の形成のための施策を推進されたい。

2.市町村の一般廃棄物処理責任の性格

廃棄物処理法上、市町村は、一般廃棄物の処理について、統括的な責任を有するものと解されている。当該市町村が自ら処理を行う場合はもとより、他者に委託して行わせる場合でも、その行為の責任は引き続き市町村が有するものである。

また、市町村における処理責任に照らすと、市町村は一般廃棄物の処理を他人に委託して行わせる場合、施行令第4条に規定する基準(以下「委託基 準」という。)を遵守することはもちろんのこと、受託者が廃棄物処理法施行令第3条に規定する基準(以下「一般廃棄物処理基準」という。)に従った処理を 行うよう、一般廃棄物の最終処分が終了するまでの適正な処理を確保しなければならないものである。
委託処理する場合においては、委託基準において、受託者 の能力要件等に加え、「委託料が受託業務を遂行するに足りる額であること」とされている等、環境保全の重要性及び一般廃棄物処理の公共性にかんがみ、経済 性の確保等の要請よりも業務の確実な履行を重視しているものである。

さらに、受託者により一般廃棄物処理基準に適合しない収集運搬や処分が行われた場合、市町村には一般廃棄物の統括的な処理責任があることにかん がみ、市町村は委託基準を遵守したか否かにかかわらず、自ら生活環境の保全上の支障の除去や発生の防止のための措置を講じるべきである。

以上のとおり、市町村の処理責任は極めて重いものであることを改めて認識されたい。

3.一般廃棄物処理計画の策定及び適用

廃棄物処理法第6条第1項及び第6条の2第1項に基づき、市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物処理計画を定めなければならず、かつ、それに従って当該区域内における一般廃棄物の処理を行わなければならない。

2.で述べたように、市町村は、一般廃棄物の統括的な処理責任の下、市町村自ら処理する一般廃棄物のみならず、市町村以外の者が処理する一般廃 棄物も含め、当該市町村で発生するすべての一般廃棄物の適正な処理を確保しなければならず、その基本となるものが一般廃棄物処理計画である。
近年、各種リサイクル法の制定等により、製造事業者等に一定の役割を果たしてもらういわゆる拡大生産者責任(EPR)を求めたり、また、事業系 一般廃棄物について排出事業者責任を強化する等の措置を講じてきたところであるが、一般廃棄物については、引き続き市町村が定める一般廃棄物処理計画に従って市町村の責任の下でその処理を行わなければならないものである。

なお、昨今、各市町村、住民、事業者等の努力により、ごみ排出量は一般に減少傾向を示しているところである。
こうした排出量の傾向や環境保全の 重要性等も踏まえ、一般廃棄物処理計画の策定及び適用に当たっては、長期的な展望をもって対処するとともに、区域内のごみ排出量の見込みに対応した適正規 模の処理施設や体制とするよう徹底を図られたい。

(別添略)
    ページの先頭へ戻る